<meta http-equiv="refresh" content="0; URL=https://mobile.twitter.com/i/nojs_router?path=/i/moments/855971634829680641"> どうしてq差分化したいのか?――素性の良いパラメーターを増やすことは常に良いこと

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どうしてq差分化したいのか?――素性の良いパラメーターを増やすことは常に良いこと

q差分パンルヴェ系、q差分超幾何系、量子群、などなどのように様々な分野でパラメーターqが導入されており、たくさんのきれいな公式が得られている。q差分のパラメーターqの導入は素性の良いパラメーター導入であり、数学的に大歓迎されるべきことである。表示画像は2014-12-11の私のノートより。
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最近いろんな人からq-差分のやq-超幾何、q-パンルヴェの話を聞くんだけど、どうしてq-差分を考えて、そしてq差分のことがわかると何が嬉しいのかはまだよくわかってない

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少し返事が長くなるので複数のツイで答えます

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返信先: さん

微分方程式をメラン変換すると差分方程式になるので、微分方程式だけを考えるだけではなく差分と微分は並行に考える必要が出てくる。1変数の場合「差分」は一次分数変換に拡張できるが、函数論で習うように一次分数変換は固有値の方によって楕円型、双曲型、放物型の3通りがある(続

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返信先: さん

適当に標準化すると放物型はf(z+1), 楕円型、双曲型はf(qz)の形になり、|q|=1の時が楕円型、0<|q|<1のときが双曲型である。なので差分方程式は加法的差分と乗法的差分の両方を考える必要があり、乗法的の場合も|q|=1の場合とそうでない時で状況が異なる(続

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返信先: さん

「差分方程式はf(z+h)でh→0にする、f(qz)でq→1にすると微分方程式になる」という退化がとれるので、差分の方が微分より上位の存在である。例えば、2階パンルヴェ方程式は初期値空間の分類を行なうことで、微分・差分が自然に一つの枠に収まり並行して研究する必要がある(続

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返信先: さん

超幾何系やパンルヴェ系を考える際、q差分と微分はパラレルに考察することができるので、q差分のほうが加法的差分よりやや重要であろう。また、離散的な方程式を考えるため、「基本群」の意味づけ・考察などでは数論的な着想が役に立つようである(が私はこの方面は詳しくない)。(続

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返信先: さん

また、q-級数の取り扱いはラマヌジャンの数学に繋がるものがあり、数学者にとってはラマヌジャンのさまざまな計算を現代的に位置づけることは魅力的である。q-解析のほうが微積分より扱いやすい場合もあり、qの世界で解析して退化させる方が直接微積分で扱うより考えやすい場合もある。(続

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返信先: さん

q-差分を扱わないと前に進めないということもないのですが、いろんな状況証拠からq-差分も扱う方がわかりやすくなり、新しい数学につながっていくと思います。またq-差分の上位の存在である楕円差分も数理物理など応用上重要であり、この楕円差分の解析は発展途上です。(終

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「q差分版をどうして扱いたいのか?」という質問に関するPaul Painlevé at JPN さん の回答に付け加えるべきことがあるとすれば、量子群との関係について。返答連鎖に続く

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返信先: さん、さん

「q差分版をどうして扱いたいのか?」に関するPaul Painlevé at JPNさんの回答はリンク先のツイートから始まる返答連鎖にあります。

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返信先: さん、さん

任意の量子群が「q差分版」であるわけではないのですが、Kac-Moody代数の普遍展開環のq差分版(Drinfeld-Jimboの量子展開環)は「量子群」と呼ばれている数学的対象の中で特に扱い易い性質を持っており、非常に詳しく調べられています。続く

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返信先: さん、さん

続き。「様々な種類の数学のq差分版が存在する」という現象について系統的に詳しく研究され始めたのは量子展開環が発見された時期からだと思います。量子可積分系や組み紐やリンクの不変量と3次元多様体の量子不変量などと量子展開環は関係しています。続く

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返信先: さん、さん

続き。基本的に素性の良いパラメーターの個数が増えることは数学的にありがたいことです。「素性が良い」の意味は「きれいな公式が得られること」や「一つの分野だけの孤立した現象ではなく、様々な分野で同じようなパラメーターを導入可能であること」などを意味します。続く

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返信先: さん、さん

続き。きれいな公式が得られてかつ複数の分野にまたがる素性の良いパラメーターの導入はどんなものであれ、数学的には大歓迎だと思います。q差分のqについても難しく考えずに、このように考えておけばよいと思います。もしかしたら、あなたが新パラメーターを発見するかもしれない。

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返信先: さん、さん

ここで注意。「古典版とその(正準)量子化版の区別」と「(通常の)微分版とq差分版の区別」は異なります。歴史的な理由で専門用語的にその辺が混乱しているので、新たに学び始める人達は「何を扱っているか」の解釈に注意を払う必要があります。続く

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返信先: さん、さん

続き。例:q差分パンルヴェ系は古典力学としてのq差分版である。例:Lie代数の要素は微分する操作の一種であり、Lie代数の展開環は、交換関係で定義される代数なので、通常の微分版で(正準)量子化された場合。量子版だがパラメーターqは入っていない。続く

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返信先: さん、さん

続き例:Lie代数aの双対空間a^*上の多項式環はaで生成される対称代数と同一視でき、Lie代数の構造からPoisson構造が自然に入る。それは微分版でかる古典(力学)版。Lie代数の普遍展開環はこの場合の正準量子化とみなされる。続く

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返信先: さん、さん

例:Kac-Moody代数(特に扱い易いLie代数)の双対空間は通常の微分版の古典力学の対称であり、その普遍展開環はその量子化で、その量子展開環は普遍展開環のq差分版とみなせます。1つのKac-Moody代数から、微分古典版、微分量子版、q差分量子版が得られる。

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返信先: さん、さん

例:さらにややこしいことに、以上の群バージョンもあります。Kac-Moody群には自然には自然にPoisson構造が入り、その場合は微分版ではなく、群版でかつ古典力学版になります。その量子化は大雑把には量子展開環の双対になり、qは正準量子化のパラメーターになります。

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返信先: さん、さん

続き。量子展開環を普遍展開環のq差分版とみなしたときのqはq差分化のパラメーターであり、量子展開環の双対をPoisson群(上の函数環)の量子化とみなしたときのqは正準量子化のパラメーターとみなされます。

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返信先: さん、さん

例:さらにさらにややこしいことに、典型的なq差分パンルヴェ系(これは古典力学版)の素性の良い(正準)量子化の構成を試みると、古典版には無かった場所にパラメーターqが非自明な形で入って来ます。詳しくは私の研究→

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返信先: さん、さん

続き。素性の良いq差分版でかつ正準量子化版のパンルヴェ系を構成する試みについてはこの講演スライドも見て下さい→

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返信先: さん、さん

続き。q差分化してかつ量子化すると(もしくは量子化してかつq差分化すると)実質的に(全部表に見えているとは限らない)、パラメーターが2つ増えていることになります。素性の良いパラ―メーターが増えるのはとてもよいことです(笑)。正準量子化が素性が良いことは確実でしょう。

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返信先: さん、さん

以上は主にパラメーターqに関する「量子群」関係の話。パラメーターqのもう一つの重要な由来は有限体の位数としてのqでしょう。(注意:量子群の意味でのqと有限体の意味でのqは2乗もしくは平方根の違いが出ることが多いので注意した方がよい。) 続く

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返信先: さん、さん

位数qの有限体における直線Lの有理点の個数はqです(当たり前)。だから、パラメーターqの「幾何的」な一つの解釈は「直線L」です。直線は幾何的対象の基礎的な材料なので、そういう解釈をすればパラメーターqの出現が不可避であることがわかったような気分になります(気分だけ)。

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返信先: さん、さん

直線Lがパラメーターqの源泉になっていることについては "motivic integration" "quantum dilogarithm" に関する文献を見て下さい。私はその方面については全然詳しくありません。

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返信先: さん、さん

そこまで「おおげさ」な話にしなくても、普通のq解析の解説にもあるように、GL_nやグラスマン多様体の有限体上での有理点の個数を勘定してみるという演習問題を解けばどのように自然にパラメーターqが出て来るかを納得し易いと思います。グラスマン多様体からq二項係数が出て来る。

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返信先: さん、さん

20世紀の数学の大成果の一つに「有限体上での有理点の個数を数えるという行為は数学的に超がつくほど極めて数学的に素性がよい行為である」ということがあります(Weil予想関係の数学)。q差分のqの導入はその立場からも相当に非自明な形で正当化されるとも考えられます。

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返信先: さん、さん

q差分パンルヴェ系の研究が数学的に孤立していないことを説明するために色々難しそうな話もしていますが、実際にはあんまり難しく考えずに、「きれいな公式が得られてかつ様々な数学の分野に導入可能なパラメーターの追加は数学的にとても良いことだ」と単純に考えておけばよいと思います。

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⚡️ "どうしてq差分化したいのか?――素性の良いパラメーターを増やすことは常に良いこと"

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返信先: さん、さん

Paul_Panleve at JPN さん、ごめんなさい。大量にリプライがそちらにとんでしまっていることを気付かずに連続ツイートしてしまいました。

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返信先: さん

補足:n-1次元射影空間の位数vの有限体での有理点の個数は(v^n-1)/(v-1)であり、q→1/qで不変なq数は[n]_q=(q^n-q^{-n})/(q-q^{-1})=q^{1-n}(q^{2n}-1)/(q^2-1)なので、v=√q という対応になっています。

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